クロサイのバラカはサンクチュアリの人気者であり保護活動の象徴です。彼は保護区がスタートしてから初めて生まれたサイの子で、数年前に喧嘩の最中に大怪我をしてからはこの「触れ合いコーナー」に職を得て、毎日観光客を喜ばせています。よく見ると右目は完全につぶれていて、左目も充血して白内障みたいになっています。なお密猟者から守るため、自慢の角はあらかじめ切り取られています。我々の手から干草をもらってゆっくり食んでいる様子はとても可愛いものです。
ケニア山周辺は小麦などヨーロッパ的な農業に適していたのでしょう、植民地時代の早い段階から多くの白人が入植した地域です。20世紀に入り自然保護の概念が広まってからは、牧場の一部を野生動物の保護区へ転化する動きが進みました。それら「私営保護区」「コンサーバンシィ」などと呼ばれる中のひとつがスイートウォーターズです。
ここではビッグ5の他にもオリックス、アミメキリンなどバラエティに富んだ動物が手軽に、かつ間近に見られます。国の管理とは別の視点(白人的)による保護活動も進めておけば、万が一どちらかがコケたときの保険になるので賢いと私は思います。ことわざにもあるでしょう。「全ての卵をひとつのカゴにいれるな」ってね。
結局ツァボで思ったのは、リンカーンじゃないけど、日本人による日本人のためのサファリをこの地で作り上げて行けたらなぁってこと。
日本人がケニアに関わりだしてから数十年、その間にロッジは一軒できましたが、日本食レストランは現れては消え、各種ガイドブックはハウツー本の域を超えてないし。日本語ロックならぬ「日本語サファリ」というキャッチフレーズが思いつくまでが私のいつもの限界で、具体的なアイディアは浮かばぬままベッドにもぐりこんだのでした。