2014年4月19日土曜日

森の人

雨中の二時間の藪こぎの後、開けた斜面にいましたねぇ、ゴリラさんが。二頭のシルバーバックを中心とする大きい群れでした。一番小さいのは4歳の子供で、全般的に子供は好奇心があるらしく、よくカメラ目線を我々にくれたのです。

お気づきかも

そうなんです、実は今ルワンダに来ております。ゴリラに会うために!だから先週から予習も兼ねてお猿ネタを繰り返していたんです。

若者の全て

群れの中に若いオス、所謂ブラックバックが一頭か二頭いるかもしれません。彼らはシルバーバックの許可を得て大きくなっても群れに留まってはいますが、早晩自発的に出て行くかあるいはボスに追い出される運命にあります。
 
その他の子供のゴリラ達は8歳以下ですからまだ母親と一緒に過ごしています。親が子の毛づくろいをするシーンも見られるかもしれません。親子は大変に形態的特徴が似るようで、研究者は鼻や指の形から親子関係を見破ることができるそうです。

2014年4月18日金曜日

ポジティブな家出

次にボスゴリラの周りにいるオトナ雌に目を移してみましょう。
 
彼女達も8歳くらいのときに両親のもとを飛び出して以来、いくつもの群れに混ぜてもらいながら自分探しをしてきたのです。この行動は近親交配を防ぐ役割があると考えられています。
 
ボスを慕うメス達は寵愛を得る為に競うようにボスの毛づくろいをするそうです。つまりあなたはオトナ雌同士の毛づくろいを目にすることはないでしょう。メス同士でも緩やかな格付けがありますが、それは単に群れに合流した時期の早さで決まるそうです。つまり仲が良さそうに見えるオトナ雌のグループも実は血縁関係の無い赤の他人の寄り合いなのです。

2014年4月17日木曜日

俺の群れ②

もしシルバーバックが出てきてくれたのならじっくり観察させてもらいましょう。噛む力を増強するために成獣の頭頂部は筋肉に覆われていて尖ってさえいます。眠そうな様子ならばあくびをする瞬間を待ってその長い牙を目に焼き付けましょう。これもオスだけが持つ特徴です。
 
たぶん彼は11歳の時に自発的に両親のもとを飛び出し、4年間は食料のありかや世の中の仕組みについての知見を得る努力を払い、ようやく2年前にこれまた本来自分の属する群れから出るチャンスをうかがっていた一頭のメスをナンパ、説得することに成功して新たな家庭を築いた、そういう自分史を持っているはずなのです。そういう想像を働かせれば彼の表情も一味違って見えてくるでしょう。

俺の群れ

じゃあ仮にあなたが今日ルワンダの火山国立公園へ足を踏み入れたとして何を目にするのかシミュレーションしてみましょうか?
 
群れで生活するゴリラですから生い茂った生姜やセロリの下草の合間に黒々とした彼らの姿を複数見つけるでしょう。群れのシステムは絶対的な力を持つただ一頭のオスを中心とするいわゆるハーレム。その位置は年齢を重ねないと得られないので自然、背中は経年と共に増える白髪に覆われているはず。このシルバーバックの姿をすぐに群れの中に見つけられないかもしれませんが焦らず周囲を探しましょう。食事をする、昼寝をする、移動する等の全ての行動はシルバーバックによって決められるゴリラの生活から考えればボスはそう遠くないところに必ずいて群れを見守っているはずなのです。